世界で一番若い国南スーダン。なぜ南スーダン紛争は終わらないのか。
- 南スーダンとは
- 独立前のスーダン国内における3度の内戦
- ダルフール紛争とは
- 対立を生んだ植民地時代の分割統治
- 南スーダン独立、そして内戦へ
- 南スーダン内戦に諸外国が介入する一因に石油の利権が存在
- 南スーダン紛争の現状
世界で一番若い国、南スーダン。なぜ南スーダン紛争は終わらないのだろうか。
南スーダンとは
・人口:約1000万人
・2011年7月スーダンより独立
・世界で一番新しい独立国
・首都:ジュバ
・主要民族:ディンカ、ヌエル等
Source: University of Texas Libraries
独立前のスーダン国内における3度の内戦
○第1次内戦(1955-1972)
内戦中の1956年にスーダンが英国・エジプトより独立
○第2次スーダン内戦(1983-2005.1)
1989年軍人バシールがイスラム原理主義を元に政権を掌握。内戦は南北包括和平合意(CPA)によって終結。
○ダルフール紛争(2003~)
スーダン西部で内戦が勃発。「世界最大の人道危機」とも呼ばれる。
図の参照元:外務省HP
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol59/index.html
ダルフール紛争とは
・両当事者とともにイスラム教徒
・スーダン政府軍と民兵組織「ジャンジャウィード」は民族浄化を開始
・難民・国内避難民は約200万人以上
・2009.3 バシール大統領に対する国際人道法違反により、ICC(国際刑事裁判所)より逮捕状発行
・反政府勢力内の分裂・ボイコットにより和平交渉が困難に
・現在もダルフール紛争は続く
・Human Right Watchによれば、
"スーダン政府軍とジャンジャウィード民兵は、数百の村を焼き打ちして破壊した。一般市民数万人が死亡、数百万人が住処を追放され、数千人の女性や少女がレイプ・暴行された。" 。
対立を生んだ植民地時代の分割統治
・1899~ イギリスによる分割統治が始まる。完全な分断政策をとり、南北間の格差・不満を生む原因となる。
分割統治の背景は北部と南部をわざと対立させ、イギリスへの不満をそらすためと言われる。
独立後は北部政権による南部の支配が始まり、1983年ニメイリ政権によるイスラム法シャリーアの元でのイスラム化実施、南部の地方自治要求が高まる。南部の石油開発における北部の介入に不満を募らせたことも第二次内戦勃発の原因となった。
南スーダン独立、そして内戦へ
2011年7月無事に住民投票により南スーダンは無事独立。ちなみに第2次内戦終結後から独立後の今まで3つのPKOが展開されている。
・国連スーダン派遣団(UNMIS)(2005-2011)
・国際連合アフリカ連合ダルフール派遣団(UNAMID)(2004-)
AUの停戦監視団に国連が合流。
・国連アビエイ暫定治安部隊(UNISFA)(2011-)
UNMIS派遣終了後は国連南スーダン派遣団(UNMISS)となり、自衛隊もこれに参加した。
しかし、独立後の2013年、政権を握るSPLM(スーダン人民解放軍)の内部で、キール大統領を中心とするグループと、リエック・マチャル副大統領を中心とするグループとの対立が表面化した。
キール大統領はディンカ出身、マチャル副大統領はヌエル出身である。
水面下で大統領派と副大統領派で対立が深まる。そして、12月に双方間で銃撃戦勃発、大統領派民兵がヌエル側をを虐殺し、内戦が勃発。ヌエル副大統領は自身の運動をスーダン解放運動/解放軍=(SPLM/SPLA-IO)と改名。
南スーダン内戦に諸外国が介入する一因に石油の利権が存在
南スーダンの外貨収入の大半は石油によるものである。南スーダンの輸出額の99%は原油であり、開発しているのは中国のCNPC社、マレーシアのPetronasm社などである。
2017年には中国との2国間貿易総額は120億円にもなり、石油利権を中国が狙っていることは明白である。石油収入は南スーダン政府の収入源になり、非人道的行為に目をつぶって投資を続けていると言える。
China -South Sudan Trade Reaches Over 12 Billion USD > Gurtong Trust > Editorial
OEC - South Sudan (SSD) Exports, Imports, and Trade Partners
南スーダン紛争の現状
政府が私腹を肥やす一方で南スーダン国内の生活レベルは低く、国民の2人に1人が飢餓であるとも。国をおわれる難民も多い。南スーダン難民の数は2018年5月現在247万人である(出所:IOM)。難民の最大受け入れ国はウガンダである。
写真:UNHCR
また、UNICEFによると1万7000人が子供兵士として活動しており、実質子供1000人に3人が子供兵士であるという事実に驚きを隠せない。
参考文献:富田 正史「スーダン―もうひとつの『テロ支援国家』」、第三書館、2002年
少しでも早く紛争が落ち着くことを願うばかりだ。