タリベを知っていますか?-セネガルに存在する人身売買-
途上国で頻繁に遭遇する物乞い。子供からホームレス、障害者に至るまで様々な人が生活のために観光客にお金や食べ物をせがみます。
しかし、物乞いの中にはforced giving、つまり強制的に物乞いをさせられるケースがあり人身売買(human trafficking)の1種でこれは立派な犯罪です。
お椀や空き缶を持って物乞いをするタリベ。
セネガルのforced givingはタリベ(Talibe)と呼ばれています。
これは8~18歳ほどの年齢の男子がdaarasと呼ばれるイスラムの聖典であるコーランを学ぶために住み込みで学校に通います。
名目上はコーランの勉強ですが、実際は1日8時間ほど物乞いをさせられ、決められたノルマを達成しない限り夜中まで物乞いをさせられます。達成しなかった場合には虐待を受けるケースもあり、Human Rights Watchによると虐待死したケースもあります。
連れてこられる子供は必ずしもセネガル人ではなく近隣の西アフリカ諸国から来る子供たちもいます。
このタリベはダカール市内にも多く存在し、私のような観光客を見るとSir.と言いながら近づいて来ます。お店の前では数人のタリベが待ち構えている、なんてこともありました。
勿論、犯罪である以上人権団体もこの問題に取り組んでいます。
ただし、この問題が解決できない原因はmaraboutsというdaarasを管理している宗教的指導者がタリベにより利益を得ているためです。daarasはムスリムから敬われ諸式典で重要な役割を果たすなどセネガルの社会に大きな影響を及ぼします。
そのため、この問題が解決しmaraboutsが不利益を被ることは、セネガル人にとって望ましいことではなく、そのため黙認されているようです。
勿論、maraboutsが全てタリベに関わっているわけではありません。
ただ自分の生活する目の前で犯罪が起き、子供が教育も受けず1日中物乞いをしていると思うとなんとももどかしいです。
タリベに関してはこのレポートがわかりやすかったのでぜひみてみてください⇩
https://cdn2.sph.harvard.edu/wp-content/uploads/sites/114/2017/12/ChildonMove_Senegal.pdf
むらかみ