切っても切れないコンゴの紛争鉱物と消費行動の関係。
紛争鉱物(Conflict minerals)とは
紛争地域において産出され鉱物の利益が現地の武装勢力の資金源となり、結果当該地域の紛争に加担する恐れのある鉱物の総称。
規制対象はすず、タンタル、タングステン、金(3TG)の4物質(米・ドットフランク法に基づく)。
紛争鉱物が着目されたきっかけ
1990年代のアンゴラ・シエラレオネ内戦における「紛争ダイヤモンド」。
映画『ブラッド・ダイヤモンド』で取り上げられたことで注目が集まる。
日本と紛争鉱物の関係
スマホに使用されるレアメタルの1種であるタンタルは紛れもなく紛争鉱物の1つであるため、知らず知らず間接的に消費行動が紛争に関わっている。
ちなみに、昨年の日本におけるスマートフォン出荷台数は1,216.8万台。
完全にコンフリクト・フリー(武装勢力の資金源となっていない鉱物を使用した商品)なスマートフォンは現状日本では購入できない。
オランダの会社が開発したスマホ、Fairphoneでは紛争鉱物が使用されていない証明に加え、児童労働による製造でないことも証明されています。
詳しくは、@akihiroyasui_ さんをフォローしてみてください!
オランダのスタートアップが開発した「世界一エシカルなスマホ」Fairphone レビュー! – Akihiro Yasui
紛争鉱物を使わない携帯電話:フェアフォン | SUSTAINABLE BRANDS JAPAN
また、武装勢力の資金源となっていることはかなりクローズドにされていますがそれ以上に蔓延しているのが児童労働。多くの子供たちが鉱山現場で過酷な労働を強いられています。
[目撃する/WITNESS]暴力が支配するコンゴの鉱山 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
現在の紛争鉱物に関わる国際的な制度
米・ドッド・フランク法1502条(2010年7月成立)
米上場企業のうち、「製品機能または製品製造に紛争鉱物を必要とする者」が対象。
規制対象はすず、タンタル、タングステン、金(3TG)の4物質。
しかし、トランプ大統領がこの法律の条項の撤回を検討(2017年2月)。ドット・フランク法に関しては子の2記事がわかりやすいです。
撤回に至った背景
多くのNGOらから支持されたこの条項。なぜ廃止の方向で話が進んでいるのでしょうか?
1.企業にとって調査書の提出、外部による監査等にに莫大なコストがかかる
2014-2016年の調査 によればわずか1%の企業のみが「コンフリクト・フリー」だと証明可能
2.紛争鉱物の規制により現地の人々の生活に悪影響
鉱物の取引の減少、移転によりDRCコンゴでは800-1000万人に影響が出ると予想される。紛争鉱物を採掘している地域において、ドット・フランク法成立後、乳児死亡率が143%に増加。(UN WIDER study(2016))
そのほかのコンゴ民主共和国における問題
紛争鉱物と指定される鉱物以外も大きな問題を抱えます。
1.すず、タンタル、タングステン、金(3TG)以外にも問題となる鉱物は存在する
・リチウム電池に使用されるコバルト
・半数はコンゴ民主共和国で生産
・しかし約2割は児童労働など問題を抱える
・6月12日時点で28人が死亡(WHOより)
・現在も都市部を中心に被害拡大中
・周辺国も感染を警戒中
消費と紛争の関連性。根強い問題です。自分の使うものがどこから来ているのか。グローバル化に伴い見えづらくなってますね。
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